研究倫理規定

 一般社団法人ライフデザインカウンセリング学会は、その学会員(以下会員)が研究者としての責任と義務を適切に果たすための指針として、ここに研究倫理規程を策定する。

第1条 研究計画の作成
  研究計画は、会員が所属する機関内に設置されている倫理委員会等から承認を得て、承認された研究計画に従って研究を実施すること。倫理委員会が存在しない、あるいは機関に所属しない会員は、ライフデザインカウンセリング学会の倫理委員から研究計画を実施できるかどうかの審査を受けて承認を得る必要がある。
研究で得られた個人の秘密情報を適切に保管すること。計画の段階で、個人情報の秘密保持に限界があることが想定されるならば、研究参加の同意を得る際に、個人情報やプライバシーに及ぼす危険性について説明して、研究参加の同意を得る計画を立てること。
第2条 研究参加のインフォームドコンセント
 

研究におけるインフォームドコンセントを得るための説明に対しての研究参加者からの質問は、どのような質問に対しても答えること。インフォームドコンセントは以下に限られないが、以下について明確な説明を行い、同意を得ること。

  • 研究の目的、方法
  • リスクの説明
  • 利益や変化が起きる可能性
  • 個人情報の保持とその限界
  • 研究結果の公表方法
  • 自由参加、罰則なしにいつでも参加を中止できること。
  • 調査責任者、実施者の明記
1 会員は、障がい者、疾病者、外国人、未成年、社会的弱者から研究参加の同意を得る場合は、インフォームドコンセントに特別な注意を必要とする。特に、研究対象者を選択した説明責任や事前にすべての説明ができない場合の事後説明が必要かどうかについては、しかるべき説明をすること。
学生、受講生、カウンセリング対象者が研究に参加する場合には、以下に配慮すること。
研究参加をすることに何らかの報酬がある場合や単位認定が条件となるならば、その説明責任。研究参加を拒否した場合、学生、受講生、カウンセリング対象者に不利益が生じないようにする。研究参加が自由意思によること。
研究に参加することについてインフォームドコンセントをする能力に問題があると判断される場合は、この人からの参加の同意を得るとともに保護者や代理人などの代諾者から適切な同意を得ること。
第3条 危害の防止・個人情報の収集と保護
  会員は、研究に当たり、どのような研究方法を採用する場合においても、研究参加者や協力者の危害の防止・個人情報の収集と保護に十分に努めること。機関の指示命令によって研究を行う場合にも、会員は個人としての倫理責任を負う。
調査研究(質問紙調査、面接調査
  会員は、研究の企画と実施、およびその後の資料の扱いにおいて、協力者の尊厳を損なうことがないよう予見できるリスクと危害の防止に努める。
観察(参与、非参与)
  会員は、個人あるいはグループの行動を観察する場合、観察対象との間に適切な関係性が形成保持されるように努めること。
観察対象の個人あるいは集団の悪行を是認することがないよう、また他者への危害を是認することがないよう十分に注意すること。
フィールドワーク
  会員は、フィールド研究にたずさわる場合、対象フィールドに参入する前に自己の所属する機関の倫理委員会等に研究計画の具体を示し承認を受けるとともに、研究チームメンバーについても同様の手続きによって所属する組織からの承認を得ること。
臨床研究
  会員は、現在あるいは過去のクライエントを対象にして特定の技法の臨床研究をする場合、インフォームドコンセントによって、研究に参加するかどうかを自由意思で決定できることを明確にする必要がある。また、研究参加をしないことによって不利益にならないことを保証する必要がある。
第4条 心理テスト・尺度の開発および使用
  会員は、カウンセリング・プロセス研究で心理テスト・尺度を利用する場合、使用上の手続きに従うこと。また、クライエントへのフィードバックには、適切な配慮を行うこと。
第5条 研究の発表
  研究の発表に際しては、研究協力者の尊厳、プライバシーの尊重、守秘義務に十分に配慮すること。また、発表に関する適切なインフォームドコンセントがあること。
研究発表において、事前に研究の参加者から同意を得ている場合を除き、個人情報を知る手がかりとなる個人の秘密を公開してはいけない。また、カウンセリング関係の個人情報を出版する場合は、インフォームドコンセントがあっても、個人の匿名性を保証するために関係する個人情報を保護する方策をとること。
第6条 資金の適切な運用と利益相反のマネジメント
  公的機関・企業・団体および個人等(機関等)から研究資金の提供を受ける場合には、適切に資金を支出すること。
第7条 研究の倫理審査
  研究は、以下の倫理審査の基準に従っていること。
  • 研究参加、データの出版や公開、データの利用に関して、書面、あるいは他の適切な方法でインフォームドコンセントを得ている。
  • 研究論文の引用が適切であるか。他論文などの引用にあたっては、著作権を侵害せず、適切な方法で引用している。
  • 研究結果の適切なフィードバックが研究参加者になされている。研究終了後に、研究結果等について研究参加者に対して適切なフィードバックがなされている。
  • 二重投稿や複数審査がない。他誌に投稿中でない。すでに公刊されていない。
  • 著作者が複数の場合、その表記が適切である。執筆者が複数である場合は、執筆の名前をその貢献度の順番を記載してある。また、論文の内容に共同の責任を負えるものが全員連名者となり、それ以外に研究に寄与したものは謝辞や脚注でその旨を記してある。また、氏名の記載順番に関しては、連名者全員の承諾を得ている。
  • 尺度やテスト使用に関しては、当該研究ガイドラインを遵守し、適切に使用されている。
論文審査者は、研究計画の倫理審査も含み審査中の論文のアイデア、データ、内容を盗用してはいけない。
投稿に際して、投稿チェックリストにある倫理該当項目についてチェックをすること。
   
第8条 データ収集、管理、利用、提供の注意
  データは、適切なインフォームドコンセントを得て適切な方法で入手し、正確性を保ち、適切な方法で管理し、しかるべき時期に適切な方法で破棄すること。

 


2021年6月1日 初版

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