〈認定キャリア構成カウンセラー〉になるには

講義内容

認定キャリア構成カウンセラーになるためのカリキュラムを説明します。講義の内容は、サビカス博士のCCIの質問の順番で実施されます。

1回目講義 現在の課題が意味すること

 カウンセリングは普通、傾聴(listen to)という表現を使いクライエント理解を促進します。傾聴は英語のlisten toを普通意味します。この傾聴は、耳に入ってくる情報のすべてに注意して受け止めるという意味です。キャリア構成面接では、聞き取る(listen for)という表現を用います。この意味は、①特徴ある言い回し、②何回も繰り返す表現、③意味が強い表現、➃リズムや語調が特別な表現、⑤特別な意味がある語彙、などに注意して聞き取りことを意味します。従って、listen とは向こうから来る情報を受け止めます、listen forは、主体的に特定な情報を聞き取るという方法で、意味のある情報を意図的に取り出すという意味です。

 クライエントの訴えている課題には、クライエントのライフテーマ、ストーリーのプロット(筋立て)が見え隠れしているものです。クライエントには、課題が明確になっていない場合もあります。明確でなり場合は、明確化というスキルが必要になります。
また、クライエントによっては、それぞれ課題が異なります。課題はクライエントによって異なります。以下に注意してください。

① 課題が何かに気が付いていない段階=>課題に気付くようにカウンセリングする。
② なんとなく課題があることに気が付いている段階=>課題の明確化をする。
③ 課題に取り組み始めている段階=>アクションプランを作成して行動を起こす。
④ 課題に取り組んでいて、解決する努力が必要な段階=>行動維持、あるいは強化。
⑤ 継続して努力する段階=>マネジメント、さらに行動な課題へ向かう。

 現在の課題は、その人のライフテーマと関連しています。ライフテーマの説明の後ほど詳しくします。ここでは、人生の向かう方向を理解しましょう。クライエントの課題は、カウンセリング中に何回も表現されますので、この課題をあまり詳しく明確化しなくてもいいでしょう。

2回目 主人公のパーソナリティ

 人生ストーリーに大きな影響があるのが、主人公のパーソナリティです。例えば、主人公が慎重に行動する人の場合は、人生ストーリーの展開も安全で慎重なものになります。また、大胆でリスクを厭わないパーソナリティの場合は、冒険ストーリーになるでしょう。

 主人公は、幼年時代からやがて青年となり壮年に達します。パーソナリティは2面性があります。ある人は「私は、子どものころから変化していません」と、またある人は「多くの経験を経て、成長しました」というでしょう。しかし、ほとんどの人が「すべて大きく変化しましたが、子どものころから何も変化していないこともあります」と答えます。例えば、『ハリーポッター』は全部で8本の映画がありますが、そのすべてにハリーがいます。ハリーは、すべてのストーリーで友情に厚く、真実を追求し、粘り強く運命に向き合います。ハリーのパーソナリティがストーリーの展開に大きな役割があります。

 サビカスのキャリア構成カウンセリングでは、パーソナリティに各自があこがれのキャラクターから取り込んだ資質があるとします。あこがれのパーソナリティは、それぞれの文化で生まれてヒーロー、ヒロイン、ロールモデルです。あこがれの人は、あなたの課題を解決することができます。あなたは憧れの特質を意図的に取り込み、成長の中でその特質をリハーサルして自分に取り込んできました。
 カウンセラーは、クライエントのパーソナリティの強みが生き生きと活動できるように表現する手伝いをします。

3回目講義 活躍する舞台(ホランドコードの活用)

 この講義の要点は、クライエントの活動する舞台を設定することです。舞台には、舞台装置があります。また、舞台の上で周辺にどのような人にいて欲しいでしょう。それらの人達とどんな活動をしていたでしょうか、周りの人たちがどのような活動をしているのを好みますか。
 これらの好きな舞台や好きな環境や人物は、ホランドの職業テストを受けて、その得点プロファイルから、あなたのパーソナリティにマッチングする職業を見つけることもできます。テストによって分かることが、面接である質問をすることで正確に知ることができます。

 適性は、顕現している行動で観察することができます。客観的なテスト得点は、理知的な判断を伴い、理想的あるいはあるべき姿として語られることがあります。ところが、現在している行動は、率直にその人の適性を表しています。

現実的(realistic)な人は、物、道具や機械、動物などを対象として、明確で秩序ある活動が特徴です。機械、農業、電機、技術の分野で必要なコンピテンシーを発達させます。

研究的(investigative)な人は、実証的、抽象的、体系的および創造的な活動を好みます。説得的、社会的活動を好まない傾向もあります。科学的、実証的、抽象的、創造的な傾向があります。研究的な傾向を持つ人とは付き合う傾向がありますが、興味・信念・価値観が異なる人を避ける傾向があります。

芸術的(artistic)タイプの人は、あいまいで、自由で、体系化されていない職業を好む傾向があります。オープンな考えを持ち、感情、アイデア、他人に対してオープンです。芸術的職業や場面(作家、インテリアデザイナーなど)に向いています。

社会的(social)タイプの人は、人を助けることを好む。教える能力や社会的スキルがる。他者を教えたり援助したりすることで喜びを感じる。他者に影響を与えるようなこと、情報伝達、訓練や教育、治療や啓蒙活動などを好む。

企業的(Enterprise)タイプは、組織目標の達成や経済的な目標を達成するための交渉などを好む。リーダーシップ、対人関係、説得力を伴う活動に興味を示す。公の活動で影響を与えることを好み、身なりにも気を遣う。

慣習的(Conventional)タイプは、資料を系統的、秩序的、体系的に扱い仕事を好む。フィリング、ビジネス機器、データプロセシングを好む。ビジネスや経済的上の業績に価値を置く。体制順応的、秩序を重視する。書記的、数値的能力が高い。

それぞれのタイプは、日常の行動パターンとして顕現します。特に好むテレビ番組や好む情報(雑誌などの読み物)から行動パターンが読み取れます。

4回目講義:価値観や人生観

 クライエントにとって自分に与える最高のアドバイスは、自分を支える格言や金言です。 
この講義では、転機に直面している自分に与える最高のアドバイスは何かを探求する質問について学びます。誰にでも、子どものころから何回も自分に言い聞かせてきた言い回しや格言があるでしょう。格言は、自然治癒や、自然療法となってクライエントを今まで支えてきた言葉です。ところが、クライエントによっては以下の課題があるでしょう。

• 自分を支えてきた言葉とは、必ずしも自覚していない場合もある。
• どうしても見つからない場合は、その場で考えてもらうことができる。
• 格言などのようにきちんと表現されていない場合もある。
• 文章になっている場合も、単なる単語である場合もある。
• 格言の意味によっては、その人を制限していることもある。
• 例「決してあきらめない」。あきらめないことで、柔軟な転換ができない。
• 親やその他の人から与えられた格言の場合は、それがどのような意味があるかを 質問する。

カウンセラーは、クライエントが好きな格言を繰り返し伝えることで、その意味を強化
します。その理由は、クライエントの好きな格言は、クライエントを支えてきた資源だからです。

5回目講義 現在、好きなストーリー

 この講義での課題は、クライエントに映画、ドラマ、本などで好きなストーリーについて語ってもらいます。現在好きなストーリーは、クライエントの未来のストーリーを映すレンズです。 好きなストーリーは、未来の自己予言でもあります。

ストーリーの例
「海辺での家」 。余命 4 カ月と宣告された父親が住んでいる海辺の家を建て直す 映画。離婚して元妻の下で育った 16 歳の息子がそれを手伝った。父の死の直 前にふたりは親子の絆を回復する。
「山月記」。主人公は、才能があっても社会に認められることなく、傷つい てしまうことを怖れて、恥を感じないような野獣である虎に変身し人間の心を 失いつつあった。しかし、主人公の心には、人を思いやる気持ちが残ってい る。まわりの人への思いやりと社会貢献をしたいという思いがある。
「精霊の守り人」命を助ける物語、信念をもって困難に対処する。何が善 で何が悪かよくわからない世界で、自分が正しいと思うことの意志を曲げずに つらぬく。
主観的に生きる人間

キャリアカウンセリングは、主観的に生きている人間の内側に働きかける必要があります。人生とは、人生のさまざまな役割に意味を見いだすことです。ストーリーによるカウンセリングは、ライフテーマに光を当てて、クライアントがストーリーを語るにつれて、社会相互作用を通じて、そしてクライアントが自分たちの物語を話すにつれて、より現実になり、クライアントが自分自身について知っていることを具体化する(Savickas、2011)できます。

6回目講義 幼児期のエピソード

 クライエントに幼児期(3~8歳ごろ)の思い出(エピソード)について3つ話してもらいます。その後、その話が翌日新聞に掲載された場合の表題をつけてもらいます。あるいは、その思い出をスナップ写真にした場合にどの表題をつけますか、などと質問します。

幼児期の思い出について3つエピソードを話してもらいます。カウンセラーは、エピソードの話しに余りにも夢中になると、もっと詳細に知りたくなります。注意してもらいたいのは、エピソードの詳細を語ることがこの質問の目的ではありません。知りたいことは、話したエピソードからどのような意味を汲み取ったです。それで、エピソードに表題をつけてもらいます。そして、表題を3つ並べて、その意味を考えてみます。

この3つの表題は、個人のライフテーマを象徴しています。ライフテーマは、子どもころから何回も繰り返す似たようなライフイベントです。多くは、何もすることができなくて耐えるだけか、受動的に受け止めるだけです。ライフテーマは、そのような繰り返すイベントの意味を知り、その意味をポジティブ転換して意図に変えて、積極的に習得する課題に変化させることです。

ポジティブ転換したことが仕事になります。例えば、
• 恐れ───>勇気ある仕事(消防士、警察官、自衛官など)
• 孤独───>人間関係の仕事(支援、人との関係)
• 表現できない───>表現する仕事(役者、芸術活動)
• 不自由───>自由な仕事(企業家、自由業など)
• 不器用───>手を使う仕事(ものを制作や製造する仕事)
• 無知───>知りたい(探求する仕事)

になります。詳細は講義で理解してください。ここでは、概要のみ伝えます。

7回目講義 ポジティブ転換

 捉われの否定的な意味は、文字通りにある種の思い込みに捉われて人生に制限やマイナスの影響を与えることです。ところが、この捉われを修得する(master)、つまり自分のものにする、学んで乗り越える、使いこなす、などができるようになると、気になる事の視点をポジティブな意味に転換することができます。今まで、何度も繰り返し経験した「辛い、嫌な、無力さ」が何であるかを知ることで、自分のものにすることができます。受動的に苦しんでいたことを積極的に修得することで、苦しみを力に転換できるのです。いくつか例を挙げましょう。

例1:子どもの時に怖れていた「いわれのない攻撃」に対して怖がることから、勇気ももって対処するに転換。

例2:子どもころ閉じ込められた、厳しく行動を制限された嫌な経験から、制限されることから自由に行動できる行動力に転換する。

例3:いじめられて虐待されていた子どもから、努力して人生の勝利者になる。

これらの無意識に何もするすべがなく、ただ苦しむだけの経験を、あなたの人生を意図的に、肯定的に変換することで、生きる糧にすることができます。
サビカス先生は、ポジティブ転換を「犠牲者から勝利者へ(from victim to victor)」と表現しています。

ポジティブ転換する目的

• あなたの人生の意味を作文することで構成する。
• 意図的に人生を生きる
• ポジティブ転換により、より幸せになり、より成功する。
• 流動的な社会でも、十分に適応性を発揮する。
• 自分、相手、社会にとってもポジティブな結果を生じる。
• 仕事をすることが大切という意識を強める。

ポジティブ転換

 ライフテーマの意味をポジティブ転換する作業を加える必要があります。この作業は、経験の深いカウンセラーと共にすると効果が高いです。

参考のために一般的な実例を記載します。
実例1:「嫌なことから逃げること」。これをポジティブに転換すると「探求すること」に転換します。
実例2:「犠牲になること」。これをポジティブ転換すると、ないものを犠牲にすることはできないので、努力して何か特技を身に着ける。
実例3:「無言で耐えること」。これをポジティブ転換すると、表現力を身に着けて、人生の深みを言葉にして伝えるに転換する。
実例4:「惨い社会に復讐する」。惨いことが起きないように、社会の犠牲者を保護する、エンパワーするに転換する。

ライフポートレートで、あなたは幼少期から現在まで変わらないところはどこですか? 変わったところがあるとすると、それはどこでしょうか?

• 自分の人生を意図的に生きるには、自分の人生を自分のものとして引き受ける勇気が必要です。自分の人生を引き受けるには、より明確に自分の人生を理解するほうが、引き受けることが可能になるでしょう。生きる意味は、山の登り口や山頂に達するためには、いろいろなルートあるので、どのルート選ぶかのような選択に幅があります。どの意図でも行先は、人生の完結です。

• ここで、自分の人生を引き受けるという意味を考えてみましょう。フランクル(Viktor Emil Frankl、1905-1997)は、どの人生も一回きりなので、同じ意志決定の瞬間はめぐってこないと言っています。今のこの瞬間にどのように生きるかは、自由に決められるとも言っています。

8回目講義 観客や証人の役割

 カウンセラーは、クライエントのストーリーを聞き取る証人になります。証人の在り方は以下で

    1. クライエントの人生が好ましい展開をしているとことを認める人
    2. クライエントにとって好ましい展開が持続する貢献をする人
    3. 人生が個人物語で構成されていると知ることができて、人生の物語りには多くの人と共 通することを知らしてくれる人
    4. クライエントの物語は、置かれている文脈で構成されていることに気が付くのを助けてくれる人

話すまでは見えないストーリーが、カウンセラーと共有されることで、二人で共有されるストーリーに変化します。つまり、カウンセラーによって承認される語りになります。クライエントな真正なストーリーであり、クライエントの人間特性によって構成されるストーリーになります。カウンセラーがしてはいけないことは以下です。

    1. 道徳的な判断をすること。
    2. 他者の人生を文化的規範に照らして判断すること。
    3. 他者の人生を解釈して仮説を立てること。
    4. 介入すること。
    5. クライエントの経験に直接触れることがなく、客観的に語り手を評価すること。
    6. あるいは祝福すること。ほめ過ぎるとクライエントには負担になります。

9回目講義 ライフポートレートの作成

 ストーリーには、テーマとプロットがあります。テーマは、クライエントさんが生きている意味や生きる目的として語られます。子どものころから、現在も、そして未来にさえ、同じような話が続きます。多くのクライエントは、繰り返されるストーリーに気が付かず、起きたことにただ耐えるだけという受け身の生活を続けています。そして、ストーリーにはプロットがあります。プロットは、エピソードの始まりと結末を結びつける説明です。プロットは、話の筋立てを説明したものです。原因と結果をつなぐ説明の方法です。因果律ともいえるでしょう。

 クライエントの人生のアウトラインを記述して、クライエントの人柄、人生を描写する文章をライフポートレートと呼びましょう。普通、ライフポートレートは自画像という絵画となり、人物の人柄や人生さえ想像させる作品です。クライエントの人生を概括して、人柄を生き生きと著述して、人生のアウトラインを簡潔にして、特色を強調する文章に仕立て上げます。

 ライフポートレートにする材料は、クライエントが語る実際の言語表現です。一枚の紙にクライエントの表現を適切に並べて、テーマ、プロットが一貫とするストーリーになるように作文します。注意することは、簡潔であること、生き生きとしてストーリーになること、短い言葉と現在形の動詞を使い表現することです。

 そして、ライフポートレートを一貫するものとして編集しましょう。注意することは、主体的に行動する人間として描くことや、生き生きとしたテーマとパーソナリティの変遷を強調すること、人生そのものに語らせる工夫をすることです。ライフテーマが全体の文節を統合して、一つのまとまりのあるライフポートレートが作成できます。人生の意味やテーマが浮き出すと、クライエントにとっては大きな力となります。

10回目講義 ソシオ・ダイナミックカウンセリング

  バンス・ピービ―(Vance Peavy)が開発したカウンセリングです。社会構成主義の代表するカウンセリングです。ピービ―は、彼のアプローチを「一緒に、仲間、そしてあるいは社会」という意味で〈ソシオ(socio)〉と呼び、部分間の美的なバランス、連続的な変化及び動きを意味するギリシャ語の〈ダイナミコ(dynamiko)〉を使ってソシオダイナミックアプローチ(SocioDynamic Approach)と名付けました。〈ソシオダイナミック〉は、社会的存在として絶えず変化する人間を結晶化させます。「私たちの最善の状態は、全体的に美的で均衡がとれています。良い生き方は詩や踊りのようなアートの仕事です」(Peavy, 1997b, p.8)。

ソシオダイナミックなキャリアカウンセリングができることは以下です。

    • キャリアカウンセリングに共通する仕事の世界と個人の関係性に対する視点を提供します。
    • カウンセリングプロセス内で起きる人間の相互作用の組み立て方によって、仕事との関係をより満足するものにできるという考え方です。
    • カウンセリングプロセスを協働で推進するために、クライエントとカウンセラーが取るべきスタンスと役割について提言をしていることです。
    • 最初の3つのテーマを支持するカウンセリングの組み立についてのヒントが詳細に論じられていることです。

ソシオダイナミック・カウンセリングには、以下の特色があります。

    1. 心理測定からナラティブや意味やストーリーを自己構成への変化
    2. カウンセリングは科学的に正当化された学問とするよりは、文化に基盤がある活動とする。複数のレンズが必要。
    3. カウンセリングに哲学が欠如している。残念ながら、テクニカルな要素に焦点が当てられている。ソシオダイナミック・カウンセリングは哲学的な思考が重要とする。

 その特色は「対話的傾聴」と「内面的平和」です。
対話的傾聴 ソシオダイナミックアプローチでは、「対話的傾聴」(Peavy, 2004, p.54)を通して、クライエントの話に対して真正の傾聴をすることを重視します。カウンセラーの傾聴スキルを高めることは、このアプローチにとって、カウンセリング手法の根本となるパラダイムに関連します。

面的平安は、カウンセラーが純粋な態度でその場に存在してクライエントと対面している心の状態です。内面的平安は、受容的、静的、集中していて、尊重する態度で、忍耐強く、自己を空にし、自分の気分を認知していて、感謝する、ことを含んでいます(Peavy, 2004)。内面的平安は容易には実現できません。それは、意識的な練習を必要として、「精神的で心理的な状態」です。

11回目講義 ストーリーによるキャリアカウンセリング

 アイデンティティは語りで構成されます(Savickas)。自伝語りでは、自分についての物語りを、社会、文脈の中での自己について語ります。いかに自己が変化したか、同時に同じであったかを語ります。自伝は、人生プロセスで起きたさまざまな変化に対する応答によって自分を構成するストーリーが語られます。アイデンティティは、選択と設計を自伝的語りに基礎を置いています。

 内省するとは、問題からいったん外に出てながめて、人生に対する態度、価値感、考え方、複雑な役割の理解、他者との関係などを内省して改訂することです。プロセスには、ストーリーを明らかにし(協働構成)、さまざまな視点からスペースを開く(脱構成)、自分についての知識を次の章(再構成)へのガイドとする、および次の章(構成)の作成がある。現場の職業を文脈に関連付け、学習し、楽しみ、働き、価値付けして、人間関係を形成するという人生の役割のことである(Brott、2005)。

脱構成との同義語には、 「空間を開く」、「異なる視点」、「もつれをほぐす」、「もし~ならどうでしょう」などと考えるといいでしょう。

再構成は、人生の物語を元に戻して統一されたテーマの自伝になるようにすることです。こうするためには、クライアントが学習したことをストーリーとして織り上げる作業や、次の章でどのように生きるかを選択すること(つまり、人生テーマを選ぶこと)、および人生にタイトルを付ける方法が含まれます。
再構築は、クライアントが人生の次の章立てを構築できるようにする重要なプロセスです。

12回目講義 キャリアアダプタビリティ

キャリアアダプタビリティは21世に構成された概念です。

問1「あなたは、あなたの未来にどんなこだわりを持っていますか?」
問2「あなたは、自分の未来を自分自身の力で思い通りにできるでしょうか?」
問3「あなたの未来が、どんな未来になるかと思うと、ワクワクしますか?」
問4「あなたは、未来の人生をあなたらしく生きる自信がありますか?」

問1がconcern(未来への関心)、問2control(コントロール)、問3curiosity(好奇心)、問4confidence(自信)です。これら4Cを育てていくことは、不確実な現代を生きていく上で重要です。あなたの未来は、自分で予想したようになりそうですか?それとも、予想を超えるでしょうか。予想できない21世紀は、適切なキャリアアダプタビリティを自分のものにすることで、どんなに不安定な社会でも生き抜くことが可能になります。

4Cの注意事項

    1. キャリアアダプタビリティには個人差があります。人と比べて、高いとか、低いとかを気にする必要はありません。自分のキャリアアダプタビリティの特徴を理解することが大切です。低いところがあれば、その領域を伸ばす工夫をしてください。
    2. キャリアアダプタビリティは主観的なものです。点数化して評価するものではありません。高すぎると、固いアダプタビリティになる場合もあるので、質を検討してください。
    3. キャリアアダプタビリティは、年齢や役割によって変化します。
    4. キャリアアダプタビリティは、文化(国、国籍、人種、どこに住んでいるか、どんな組織に所属しているか、どんな教育を受けたか)によって影響を受けます。

 キャリアアダプタビリティは、4つのそれぞれの態度、コンピタンス(能力)、対処態度、不足する場合の問題について表を参照ください。

適応側面 態度と信条 コンピタンス 対処態度 キャリアの問題
関心 計画性 計画できる 準備する意識 無関心
コントロール 決断性 決心できる 教育された意志力 決断に欠ける
好奇心 探求性 探求できる リスクを厭わない 現実的でない
自信 効率性 解決できる 粘り強い 抑制的傾向

入会のご案内

研究所への入会については、入会のご案内をご覧ください。

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